国際交流基金と日本国際教育支援協会が運営する日本語能力試験公式ウェブサイトです。
日本語能力試験とは
CEFRレベル参考表示
1. はじめに
ヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages:Learning, teaching, assessment、以下「CEFR」)は、欧州の言語学習・教授・評価の場で共有するための枠組みとして、2001年に欧州評議会により発表されました。
CEFRでは、外国語の熟達度をA1、A2、B1、B2、C1、C2(C2が最高レベル)の6つのレベルに分け、各レベルで外国語を使ってどのようなことができるかを、言語能力記述文(「~できる」という文)で示しています。
CEFRは40もの言語に翻訳されており、言語や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で表示することができる国際的な枠組みとして広く活用されています。
日本語に関しても、日本の文化庁が「日本語教育の参照枠」(報告)(日本語版のみ)を、国際交流基金が「JF日本語教育スタンダード」を、CEFRを参考とした日本語学習、教授、評価のための枠組みとして発表しています。
「日本語教育の参照枠」(報告)では、学習・教育内容の多様化が進む中、各試験が判定する日本語能力についての共通の指標を整備し、利用できるようにすることが必要となってきたとの考えが示されました。これを踏まえ、日本語能力試験の受験者をはじめとした関係の皆さんが、日本語能力試験(以下「JLPT」)の結果を国際的な枠組み(CEFR)に当てはめて、参考とすることができるように、各種検証作業を通じて、2025年第2回(12月)試験から、日本語能力試験の成績書類にCEFRレベルの参考表示を追加することとしました。
«重要なお知らせ»
日本語能力試験の成績書類へのCEFRレベルの参考表示は、2025年第1回(7月)試験からの開始を予定し、2023年7月21日付の「お知らせ」でそのように発表しました。
これまでにCEFRレベルの参考表示のための手続きはすべて終了し、このたび以下のとおり、日本語能力試験とCEFRレベルの対応について発表しますが、日本語能力試験の結果を活用される皆様に十分な周知と準備の期間を取るため、開始を2025年第2回(12月)試験からに変更することといたしました。
関係の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご了解くださいますようお願いいたします。
2.JLPT総合得点とCEFRレベルの対応付けの方法
JLPTのCEFRへの対応付けの方法については、2024年2月に公表したレポート「日本語能力試験の CEFR レベル参考表示に向けて― 対応付けの手続きを中心に ―」を見てください。
このレポートの中で説明されている「基準設定(standard setting)」を、2024年10月に国際交流基金で実施しました。そこでは、CEFR、試験と評価、そして日本語学習者の能力発達段階に詳しい国内外の専門家が、JLPTの「読解」と「聴解」の各レベル(N5~N1)の試験問題についてCEFRレベル(A1~C2)の判定を行いました。その結果を基に分析を行い、JLPTの総合得点上にCEFRレベルの境界点を設定しました。
3.JLPT総合得点とCEFRレベルの対応
図1:JLPT(N5~N1)総合得点とCEFRレベル(A1~C1)の対応
PDFファイル
JLPTにおけるCEFRレベル参考表示は、以下のように行われます。
- (1)JLPT各レベルの合格者だけに表示されます。
- JLPTでは、ひとつでも基準点に達していない得点区分がある場合、総合得点が合格点以上であっても不合格になります。その場合も、CEFRレベルは表示されません。
- (2)JLPT各レベルの総合得点に対応したCEFRレベルが参考表示されます。
- 総合得点は、得点区分別得点の合計点です。N1、N2、N3は「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の合計点、N4、N5は「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」と「聴解」の合計点です。
具体的な参考表示は以下のとおりとなります。 - N5では、総合得点80点以上はA1レベルと表示されます。
- N4では、総合得点90点以上はA2レベルと表示されます。
- N3では、総合得点95点以上103点まではA2レベル、104点以上はB1レベルと表示されます。
- N2では、総合得点90点以上111点まではB1レベル、112点以上はB2レベルと表示されます。
- N1では、総合得点100点以上141点まではB2レベル、142点以上はC1レベルと表示されます。
- (3)CEFRレベルは、JLPTで測っている能力について、参考表示されます。
- JLPTで測る「言語知識」「読解」「聴解」は、CEFRの「言語能力」と「受容活動能力」に当たります。JLPTで測定していない「産出活動(話す・書く)」「やりとり」等の能力は含まれていません。
4.2025年第2回(12月)試験からの成績証明書
以下の例のように、参考情報のひとつとして、CEFRレベルが通知されます。
合格者には、総合得点に対応するCEFRレベルが 表示されます。不合格者(総合得点が合格点以上であっても、基準点に達していない得点区分がひとつでもある者を含む)にはCEFRレベルは表示されず、「*」が表示されます。
※以下の例は、海外で受験した場合です。日本国内での受験の場合、パーセンタイル順位の表示はありません。
【合格者への通知例(N4の場合)】
得点区分別得点 Scores by Scoring Section |
総合得点 Total Score |
|
---|---|---|
言語知識(文字・語彙・文法)・読解 Language Knowledge (Vocabulary/Grammar)・Reading |
聴解 Listening |
100/180 |
60/120 | 40/60 |
正答率 Percentage of Correct Responses |
パーセンタイル順位 Percentile Rank |
CEFRレベル (言語能力・受容活動能力) CEFR Level (Linguistic, Reception) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
文字・語彙 Vocabulary |
文法 Grammar |
読解 Reading |
||||
B | B | A | 71.4 | A2 |
【不合格者への通知例(N4の場合)】
得点区分別得点 Scores by Scoring Section |
総合得点 Total Score |
|
---|---|---|
言語知識(文字・語彙・文法)・読解 Language Knowledge (Vocabulary/Grammar)・Reading |
聴解 Listening |
45/180 |
30/120 | 15/60 |
正答率 Percentage of Correct Responses |
パーセンタイル順位 Percentile Rank |
CEFRレベル (言語能力・受容活動能力) CEFR Level (Linguistic, Reception) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
文字・語彙 Vocabulary |
文法 Grammar |
読解 Reading |
||||
C | C | C | * | * |
※参考情報について
正答率
分野ごとにそれぞれ「何問正解したか」を示します。
A 正答率67%以上
B 正答率34%以上67%未満
C 正答率34%未満
パーセンタイル順位
海外で受験した合格者(聴解免除を除く)には、その試験を含む過去6回の全受験者の中で、「あなたの得点に満たない受験者は全体の何パーセントを占めているか」を示します。不合格者には表示されません(*で示します)。
CEFRレベル
(言語能力・受容活動能力)
総合得点に対応するCEFRレベルを示します。不合格者には表示されません(*で示します)。
(本件担当)
国際交流基金日本語試験センター
メールアドレス:jlpt_sankou@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角@マークを半角に変更してください。)