1. 日本語能力試験Can-do自己評価リストとは
このリストは、「日本語能力試験の各レベルの合格者が、日本語でどんなことができると考えているか」を、受験者の自己評価調査の結果に基づいてまとめたものです。
したがって、日本語能力試験のシラバス(出題内容)ではありません。また、合格者の日本語能力を保証するものではありません。日本語能力試験が測る日本語能力や出題内容については、「認定の目安」や「問題例」、『新しい「日本語能力試験」ガイドブック』第2部「試験の内容」 等を参照してください。
このリストは、受験者やまわりの方々が「このレベルの合格者は日本語を使ってどんなことができそうか」というイメージを作るための参考情報としてご活用いただくことができます。
注)Can-doとは、Can-do Statementsの略で、外国語を使って何がどれだけできるかを「~できる」という形式で示した文です。
2. リストの作成について
2010年9月から2011年12月まで、日本国内と国外の日本語能力試験の受験者、約65,000人に対してアンケート調査を行いました。この調査では、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの技能について、「駅やデパートでのアナウンスを聞いて、だいたい理解できる」(「聞く」の一例)のような行動を記述した文(Can-do項目)約30個ずつを見て答えてもらいました。質問は、①その内容をしたことがあるか(経験)と、②どのぐらいできるか(自己評価)の2つで、①の回答は「ある」または「ない」、②は「4:できる」「3:難しいがなんとかできる」「2:あまりできない」「1:できない」の4段階で答えます。
以上のアンケート調査の結果を統計的に分析して、以下の手順でリストを作成しました。
まず、全レベルの受験者の回答結果の分析に基づき、各技能のCan-do項目を難易度順に配列しました。
次に、各レベルの合格者がそれぞれのCan-do項目について、「できる」と考える割合を推計しました。なお、各レベルの合格者の日本語能力にはかなりの幅がありますが、推計では「合格ライン付近の合格者」(図1)だけの回答結果を使用しました。合格ライン(合格点)付近の合格者が「できる」と考える項目であれば、そのレベルの合格者の多くが「できる」と考えると予想できるからです。
そして、最終的に各技能20個のCan-do項目を選んで、各レベルの合格者が「できる」と考える割合を①75%以上、②50%以上75%未満、③25%以上50%未満、④25%未満の4段階の色の濃淡で示しました(図2)。
リスト作成の詳細については、「日本語能力試験Can-do自己評価調査レポート」<最終報告>をご参照ください。
3. リストの利用について
日本語能力試験Can-do自己評価リストは、次のように使っていただけます。
学習者の方は、自分ができることとできないことを確認して、今後の学習の目標を持つことができます。また、自分が合格したレベルについて、他の人に説明するときにも使えます。
日本語教育関係者の方は、各レベルに合格している学習者が自分の日本語能力をどうとらえているかをイメージすることができ、教授活動を組み立てる際の参考にすることができます。
学習者のまわりの方は、その学習者が合格しているレベルでは何ができそうかをイメージして、一緒に仕事をしたり、身近で生活をしたりする場合の参考にすることができます。
6. 日本語能力試験Can-do自己評価調査レポート
このレポートは、「日本語能力試験Can-do自己評価リスト」について、作成の目的、調査の方法と内容、分析とリスト作成の方法などについてまとめたものです。「中間報告」は、2010年の調査の結果をまとめて2011年6月に公開しました。「最終報告」は、2012年10月に公開しました。
中間報告(2011年6月公開)
最終報告(2012年10月公開)